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やさしい介護学

12年間の介護職体験談を思いのままに綴ります。

浣腸とBB?

     勤務2日目

 初日のショック体験から一夜明け、何とか気力をふりしぼり、不安と混乱を引きずりつつも、出勤することが出来ました。今日は何するんだろう?スタッフと仲良くなれるかな?今日もショックな事がいっぱいあるのかな?と、ロッカールームで制服に着替えつつ、頭の中でぶつぶつとつぶやきながら、考えていました。

 

 まずは、初日に出勤していなかったスタッフに簡単に自己紹介をしました。出勤初日は、女性でありながらも、ラグビー選手かプロレスラーのごとく、いかつい体格の女子?ばかりでしたが、2日目に出勤していた人は、正反対で若くて小柄な女子が数人いて少しホッとしました。さて、いよいよ業務開始です。

     申し送り

 まずは、夜勤者から【申し送り】を受けます。申し送りとは、夜勤帯に起きた重要事項、患者さんの状況変化や支援内容、生活状況特変事項、日勤当日の予定などを伝えてもらうことです。

 

 高齢者の介護は、日々変化が大きいため、業務を始める前に、メモを取りながら、頭に叩き込む必要があります。「知りませんでした。聞いてませんでした。」では通用しません。事故が起きてからでは遅いので、正確に聞き、また伝えることが重要になってきます。

 

     浣腸の日?

 前日は、年配の主任さんに付いて、オリエンテーション中心の一日でしたが、この日から、先輩介護士に付いて、業務を教えてもらいながらの修行?の始まりとなりました。

 

 先輩介護士は、小柄な女性スタッフで、20代前半かな?といった感じの方でした。特に説明もなく、「じゃ~行こか!今日は浣腸の日やから!」それだけ言うと、看護師と2人1組みになり、次々とベッドに横になっている患者さんのおしりに、浣腸液らしきものを注入していくのでした。「なるほど・・・、浣腸の日ね・・・」僕は、2人の後姿を追うようにして、その光景を見ているだけで、特に何もできませんでした。

 

 その日は、60人の患者さんの内、約30人ほど浣腸をしたかと思います。しかし、浣腸が必要になるくらい、高齢者って便秘になるんかな~?っと、独り言を頭の中でつぶやいていました。

 

 介護士と看護師でチームを組み、15分ほどで浣腸の注入作業を終えると、先輩介護士から「今からBBするから。」と言われ、タオル2本と黄色のママレモンの容器を持って、各患者さんの居室へ入って行くのでした。

       BB?

「BB? ママレモンの容器の中には何が入ってるの?」そんな疑問を抱きながら、先輩と一緒にBBなるものをやっていくことになりました。まず、寝たきりの患者さんの着物を脱いでもらい、温かいタオルで全身を拭いていきます。

 

 そして、おむつのテープをはずし、その上からママレモンの容器で大事なところやおしりを洗います。その後、新しいおむつを装着します。ママレモンの容器の中は、温かいお湯が入っているようでした。いわゆる清拭と言われるもので、入浴ができない方や、入浴しない日に、温かいタオルで体を拭くサービスの事を言います。

 BBは、【BED BATH】の略でした。

 

     便 便 便!!!

 一通り、BBが終わって、一息する間もなく、その女性介護士の先輩から、「じゃ~浣腸まわろか!」という一言。笑うことなく、怒ることなく、淡々とした口調で、僕を導いてくれます。

 

 先程、浣腸液を注入していった患者さんのところへ行き、おむつ内を確認してゆくと、当然便が出ています。その便を起用に取り除き、ママレモンの容器に入ったお湯でこれまた起用に流した後、温かいタオルでおしりや大事なところを拭き、新しいおむつを装着し、ズボンや着物を着てもらうという作業を、素早くやっていきます。

 

 30人ほど患者さんがいるため、4~5人の介護士と数名の看護師が協力しながら、作業を進めるのですが、患者さんによって、便の性質というか形状が色々で、おむつ内に収まらない方や、収まらないどころか、ベッド上に便が流れていたり、さらには、自分の便を触っていたりする方もいて、とてもとてもこの世のものではない状況をみてしまいました。

 

 先輩に「この浣腸作業って、月に何回あるんですか?」と質問すると、「あんた何言ってんの!週2回するで!」と聞いた瞬間、「まじで、あかん、無理かも・・・!?」と、心の底から声が漏れたのでした。

介護職の初日出勤の出来事 2

     胃瘻を選択した理由

 僕の配属先となった介護病棟の60床のうち、患者さんの半分以上が寝たきり、または半寝たきりの状態でした。その方のほとんどが、胃瘻を作って、経管栄養で食事を摂っている方でした。

 

 その時ふと思ったのですが、この人たちは、自ら、この先も、生きることを選んで、胃瘻を作り、延命を希望したのか?例えば、口から食べ物を食べて生きることができなくなったから、胃瘻という手段を自ら選んだのか、または、何か理由があって、このような生き方を選択せざるおえなかったのか、その日、初めてみた僕には、全くわかりませんでした。

 

     カニューレ

 違う病室では、また変わったものを見つけました。喉のあたりに何か蝶ネクタイの様な形の光っているものが見えます。よーく見ると、どうやらそれは金属でできているようで、中央に穴が開いており、その穴は喉の奥まで伸びているようでした。金属の周りには、10㎝四方のガーゼが挟むように掛けられており、その金属の穴から、痰の様なドロドロした液体がしたたり落ちています。 

 

 その様子を見つけた看護師が、何やら壁にかけてあった管を伸ばして、その管をその穴に突っ込み、痰や唾液を吸い取っている様子でした。「これはいったい何?」「なぜ、喉に穴が開いてるの?」「金属差し込んで、痛くないの?」と、今まで見たこともないような光景に、とにかくびっくりしました。

 

     バルーン

  違う病室へ移動すると、また初めて見るものがありました。ベッドサイドにプラスティックの袋が掛けられており、その中に黄色い液体が入っていました。「何これ?点滴?いや、下から流す点滴なんて、見たことないし、自然の摂理に反するし、やっぱり何?」

 

 よく観察してみると、その袋には管がつながっており、どうやら患者さんにつながっているようでした。「ひょっとして、おしっこ?」そうです。おしっこだったのです。その時もなぜ排尿のために管をつなぐ必要があるかなど、全くわかりませんでした。

      混乱と不安

 以上の3点が、主に初日にビックリした出来事でした。重篤の患者さんの中には、口から食事ができないために、胃瘻を作り、経管栄養で食事をし、口から思うように痰を吐き出すことができないため、気管切開をし、カニューレを埋め込むことで人工的に痰を出し、自然におしっこが出ないため、バルーンという膀胱内にカテーテルという管を入れ、人工的におしっこを出し、袋にためておくという行為がなされていました。

 

 僕が今まで想像していた介護と、この日に見た介護とは、全く別物でした。今見たものが、世界最高の長寿国日本の現実なら、少し違うような、違和感を感じました。幸せに老いることって可能なのだろうか?病気になったら、僕も体じゅうに穴を開け、管を付けられるのだろうか?拒否はできるのだろうか?自分の親が老いて、医療的な介護が必要ななったら、この患者さんと同じようないことを、親にもするのか?不安と疑問でかなり混乱してしまいました。

 

     一日を終えて

 今まで漠然と想像していた介護と、この日、実際に見た介護とでは、全く違ったものでした。このような医療行為が行われているのは、ここの施設だけなのか?たまたま採用されたのが専門の施設だったのか?それとも、日本全国、同じような事が行われているのか?海外も・・・・?わからないことだらけでした。

 そして改めて、自分の親の事を考えました。親はこのような介護現場が存在していることを知っているのか?自分たちの老後のプランは考えているのか?食べることができなくなったとき、胃瘻という手段を選ぶのか?痰を出す事ができなくなったとき、はたして気管切開を選択するのか?そして自分自身は? するのか???

 

     やさしい介護学

カニューレについて

カニューレとは、ドイツ語で「管」と言います。

 気管切開したところに入れるチューブを気管カニューレと言い、痰や唾液を排出したり、空気を送り込むために挿入するパイプ状の医療器具である。

 カニューレを挿入する目的として

①重度の脳障害などで、反射的な飲み込みやせき込みが困難な場合。

②神経筋疾患により、飲み込みや呼吸機能に障害がある場合。

③寝たきりの高齢者など、飲み込みや呼吸機能に障害がある場合。

などがあげられます。

 カニューレの種類としては、飲み込みに障害がある場合や、空気の漏れを防ぐためのカフ付きカニューレや、発生を可能にするスピーチカニューレなどがあります。

 

②バルーンについて

 僕がこの日に見たものは、寝たきりの患者さんなどが主に用いられる、長期留置の為のバルーン付きのカテーテルである。

 正式には、尿道カテーテルと言い、尿道口から膀胱に通して導尿する目的で使用されるカテーテルです。長期留置の為のバルーン付きのカテーテルは、カテーテルを留置する場合、カテーテルを末端まで挿入した後に、バルーンを蒸留水、もしくは専用のバルーン固定液で膨らませます。

 カテーテルを留置する目的は、前立腺肥大あるいは脊髄末梢神経障害麻酔薬剤の影響などで排尿が困難な患者さんの導尿、手術や絶対安静時の導尿、残尿量の測定などの検査のためです。

介護職の初日出勤の出来事

          採用初日の出来事

 未経験でしたが、どうにか介護職員として働くことが決まったものの、一夜経って、本当に自分に勤まるのだろうかという期待というか不安でいっぱいでした。でも、やるからには腹をくくるしかありません。当然、いやなことや、辞めたくなるようなことが起こるだろうけど、【絶対1年間は根性で勤め上げよう】と、自分に言い聞かせ、心に誓いました。予想通り、本当に色々と大変なことがありましたが・・・。

 

 職場の環境について少し説明しておきます。僕が働くことになった施設は、老人介護保険施設に分類され、3階建てになっており、1階は外来とリハビリ室、2階は40床の医療病棟、3階は60床の介護病棟で構成されています。

 

 従業員は、ドクター、看護師、介護士、薬剤師、作業療法士理学療法士、レントゲン技師、医療事務員、栄養士など、総勢100人ほどいたと思います。

 

 出勤初日の午前中は、看護婦長によるオリエンテーションでした。当病院の設立当時のお話しから始まり、施設の説明や各フロアのスタッフへ自己紹介して回ったり、コンプライアンスに関する、入社に当たっての諸注意を聞いたりしました。その後、各新入社員の配属先が言い渡され、僕は3階の介護病棟で働くことになりました。 

          いよいよ現場で働くことに 

 午後から配属先の3階介護病棟に移り、まず、皆さんに自己紹介をしました。当日、出勤している介護職のスタッフは、7人いて、内男性スタッフが2人いました。たまたまなのか、女性スタッフは年配の方が多く、まるで女子ラグビー選手のような大柄な体格の方が多く、少しビビってしまいました。ちなみに男性は2人とも若くて小柄な細い体格の方でした。

  まずは、介護主任に付いて教えていただくことになり、その主任さんは年配の女性で、大柄な体格で、厚化粧で、笑顔が素敵な方でした。初日でまた未経験ということもあり、見学をすることがほとんどでした。しかし、そこで見たもの、聞いたことが衝撃の連続でした。

          初めてみる介護現場

 3階の介護病棟は、60床の患者さん(病棟なので、患者という呼び方になります)が入院しています。病室は4人部屋と2人部屋とがあり、ほとんどが4人部屋になっています。フロアの中央にナースステーション(詰所)があり、詰所に近い患者さんほど重篤な患者さんが入院していました。

 

          15時の夕食?で見た光景

 15時を過ぎたあたりでしょうか、看護師さんが慌ただしく、ベッド上で寝ている患者さんの真上にある、吊るし棒のようなものに、何か液体の入ったボトルをどんどん引っ掛けていくではありませんか。

 その後、患者さんのお腹から細い管が出てきて、それをよく見ると、その管は、お腹に埋め込まれており、先程上に引っ掛けたボトルにも管がついており、ボトルの管とお腹の管をつなぎ合わせ、注入している様子でした。

 そして患者さんに「〇〇さん、晩御飯ですよ!」と声をかけていました。晩御飯!!!??患者さんは何も言葉を発することなく、また意識があるかもわからないような状態で、全てを受け入れているように、そのボトルの液体は、体内に注入されていくのでした。 

           胃瘻という生命維持

 栄養剤を、直接胃に注入する行為を経管栄養(けいかんえいよう)といいます。この経験栄養を直接お腹に注入するために、お腹の辺りに穴をあけ、管を付けると、胃瘻(いろう)の出来上がりです。

 現在は、お腹から管を付けないボタンのような形状のものが多いと思います。また、鼻から管を通し、胃に栄養を注入するやり方もあります。

 その光景を見て、非常に違和感を感じました。ここで横たわっている患者さんは、幸せなのだろうか?本当に素朴な感情でした。もっと長生きしたいと思っている人はいるんだろうか?そのうち、生きるってどうゆうこと?死を迎えるってどうゆうこと?という疑問に変わっていきました。

 翌日以降も、いろんな衝撃的な光景を目にすることになるのでした。

 

          やさしい介護学

①胃瘻について

 現在、胃瘻をされている患者さんは、全国に約50万人いると言われています。内視鏡の手術によってお腹に小さな穴を作ります。PEG(ペグ)とも言います。その小さな穴を胃瘻と言い、取り付けられた器具を、胃瘻カテーテルと言います。

 認知症の方、誤嚥性肺炎を繰り返す方、食べ物が喉を通らない方など、口から栄養が取れない方に、直接胃に栄養を入れる方法を言います。

 

②経管栄養について

 口から食事が摂れない方や、口からの食事だけでは栄養が不十分なか方に、鼻(経鼻栄養法)や胃または腸に穴をあけ、チューブを挿入して、栄養剤を注入する方法です。

僕が介護という職業を選んだ理由

      介護職との出会い

 僕は現在、介護福祉士として介護施設で働いています。今年で13年目になります。

 13年前、僕は失業中でした。仕事を辞めて、3か月が過ぎようとしていました。特にやりたい事はなく、漠然と自分の将来に不安を抱えながら、次の職業は何にしようかと思い悩んでいました。

 

 職歴は、飲食、機器メンテナンス、商社、小売り、教育関係など、職を転々としてきたので、次に就く仕事は一生もの、いわゆる天職といえるものにしようと考えていました。そのため、目先のメリットというよりは、20年後、30年後も安定している職業を探すことにしました。

       就活

 平日はハローワークに通い、そこには、僕と同じような失業者があふれ返っていました。求人情報を閲覧しようにも、数十台の閲覧専用のパソコンが埋まっていることがよくあり、順番待ちをする日も珍しくありませんでした。

 

 待ち人数が書かれたカードを手渡され、順番を待っているとき、いつもハローワークにくる人々を観察していました。若い人からお年寄りまで、様々な人が来ており、以前はどんな仕事をしてたのかな~と、想像しながら順番を待っていました。順番が来ると、自分専用のパソコンの席に座ります。

 

 まずは、基本情報を入力します。性別、年齢、雇用形態(正社員、パート)、希望職種、希望賃金、勤務地などなど。入力し終えると、自分にふさわしいと思われる求人情報をコンピューターがピックアップしてくれて、新しく追加になった求人順に閲覧できるようになっており、時間制限は30分と結構短いので急いでみていく必要があります。

 

 30分を超えたら、画面の下の方に、制限時間の30分を超えています、とスクロールが流れるシステムになっています。気に入った職業があれば、プリントアウトした応募用紙をスタッフの方に渡し、面談が可能かその会社の担当者にその場で連絡を取ってくれて、面接の日程が決まるという流れになっていました。

         決断の時

 このようにして、3か月以上過ごしたのですが、いまいちこれといった職業が見つかりませんでした。しかし、これ以上無職のままでいられるほどの貯えもありません。気持ちは焦る一方です。ここまできたら、20年後、30年後も安定してそうな仕事で、自分ができそうなら、トライしよう!と決めました。そこで、閲覧の基本情報に、未経験歓迎、資格不問、経験不問、年齢不問と入力すると、介護職 がヒットしました。できるかどうか少し悩みましたが、もうそんなことは言ってられません。すぐに応募用紙をプリントアウトし、スタッフ持っていき、面談日を決めてもらいました。

         面接

 面接は僕の他に、女性が3人いました。4人そろって、同時に面談が始まりました。女性3人は経験者で、面談の内容を聞いていると、専門用語がバンバン飛び交っています。今思うと、そんなに難しいことは言っていなかったのですが、その当時はちんぷんかんぷんです。面接官は、事務長さんと看護婦長さんでした。僕の面談の様子です。

 

婦長 「介護職の経験はありますか?」

僕  「ありません」

婦長 「今までにお年寄りのお世話とかしたことありますか?

僕  「ありません」

婦長 「では何故、経験のない介護職をしようとしたんですか?」

僕  「募集要項に経験不問と書いてあったからです」

婦長 「・・・・・」

僕  「いや、あの~、将来性を感じたからです」

婦長 「・・・・・わかりました」

         結果

 と、こんな感じで面接が終了しました。率直に、【終わったなっ】と、思いました。僕一人が未経験で、全くアピールできなかったので、当然不採用だと思っていました。

 しかし、数日後、婦長さんから電話があり、「一度やってみますか?」とのお言葉をいただきました。こうして、僕は介護士として働くことになったのです。