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やさしい介護学

12年間の介護職体験談を思いのままに綴ります。

ADL とQOLの違い

たまに混乱する【ADL】と【QOL】!

 利用者のケアプランを作成するときに、必ず出てくるアルファベットが【ADL】【QOL】ではないでしょうか?よく使っている割には本当に理解していないというか、混同している時があったりするので、この機会に自分に対して勉強し直そうと思います(笑)!よろしければお付き合い下さい!

 

 まずは【ADL】:日常生活動作ですよね!健康な人が、何気なくしていることです。具体的に言うと、[人が生活するうえで必要な基本的な動作]となります。

 

 例えば、朝起てから~●目覚める→●座る→●立つ→●トイレに行く●→手を洗う→●顔を洗う(シャワーを浴びる)→●着替える→●朝食を食べる→●歯を磨く・・・。と、このような動作ですよね!

 このような一連の動作を【身の回り動作】と言います。人が生活するうえで、1日も欠かすことができない基本的な動作郡が次の5つです。

 

①食事動作 ②排泄動作 ③更衣動作 ④整容動作 ⑤入浴動作 となります。

 

 さらに進むと、生活するうえで、必要な動作群を手段的ADL【IADL】と言います。

例えば、①食事の準備と調理 ②調理器具の扱い ③洗濯や掃除 ③金銭管理 ④服薬管理 ⑤買い物や外出 ⑥乗り物に乗る ⑦趣味のための活動など・・・。

 

 このような一見当たり前に思われる動作が、年を取るとともに、また病気などで動作が困難になってきた時に、僕たちのような介護士の援助が必要になってくるというわけですね!

 

 次に【QOL】:生活の質ですね!ざっくり言うと、今まで生きてきた価値観のまま、自立した生活ができ、生きがいを持って、満足のいく生活を送る、ということだと思うのですが、いかがでしょうか? 具体的に言うと、

 

①生命の質→病気ではなく健康でいること

②生活の質→自立した生活を送ること

③人生の質→役割を持って生きること

④生きがい→満足感を持って生きること

 

【ADL 】と【QOL】の関係とは?

ここでお分かりのように、

【ADL】→身体的要素

【QOL】→心理的要素

 

 【ADL】【QOL】とのバランスが非常に重要になってくると思います。

 【ADL】が低下するとともに、いままで自分でできていたことがだんだんとできなくなり、満足感が得られなくなる、いわゆる【QOL】が低下する可能性が高くなります。すなわち、【QOL】は【ADL】の向上や低下に伴って変化しやすい傾向にあると言えます。

 ということは、【QOL】を満足なものにするためには、【ADL】能力の維持または改善が重要になってくると言えそうです。

 

身体機能の維持と改善

 最もお勧めする運動は【歩行】です。

 【歩行】は、血の巡りを良くし、肩こり、冷え性の改善になります。さらに体力・筋力を維持し、生活機能低下の予防にもなります。また精神的には、認知症の低減、気分転換やストレス解消にもなります。しかし、急激な運動は、心臓や血管に大きな負担がかかるので、やりすぎには注意が必要です。

 

 

それでも【ADL】が低下した時は・・・?

 障害の有無にもよりますが、【ADL】改善のアプローチとして、以下の3つを提案したいと思います。【QOL】の基本的な考えは、なるべくストレスのかからないように、毎日を積極的に楽しく生きること!ですから!

①環境の改善

住まいの環境を見直す→階段に手すりを付けたり、トイレを和式から様式に変えたりします。福祉住環境コーディネーターに相談してもいいと思います。

 

②福祉用具の利用(障害や残存能力を考慮して)

食事→お箸の代わりにスプーンやフォークを使用します。

歩行→杖、シルバーカー、歩行器、車椅子を使用します。

 

③代償機能の利用

右手が麻痺した時に、左手で食べたり書いたりするように、残された手などを巧みに利用して動作を行うことをいいます。

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感染症いろいろ!

感染部屋の存在

 老人保健施設に勤めて間もない頃、先輩介護士から、【感染部屋と言われている病室があり、一般病棟と少し変わったルールがあるから、きちんと守るように!】という指示を受けました。

 

そのルールとは・・・?

 

①使用済みのリネン類(シーツ・包布・病衣)は、【感染症】と書かれたビニール袋に入れ、一般のものとは別にしておく。

 

②入浴の順番は、最後、または最後の方にする。

 

③おむつ交換は、必ずプラスティック手袋を装着する。

 

④入室時は、マスクを着用する。

 

⑤リネン交換時は、プラスティックエプロンを着用する。

 

何となく重々しいルールで、どことなく近づきたくない雰囲気を醸し出していました。

 

では実際どんな感染症の患者さんが最も多かったかというと・・・

 

●MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)

 患者さんの鼻、口腔内、陰部などに保菌している場合があるため、おむつ交換など接触した後に、手洗いうがいが必要です。

 普通健康な人は感染しても発病しませんが、高齢者、赤ちゃんなど抵抗力の弱い人は発病しやすいようです。

 発病すると微熱が続き、なかなか下がらず、肺炎を繰り返し、肺血症をおこすこともあります。

 

 

●ピオ(緑膿菌)

 水中や土壌といった自然環境や、人や動物の皮膚、便、尿などに発生することが多い細菌です。自然環境内では代表的な常在菌の1つであり、人に対して病原性があります。抵抗力の弱い高齢者や赤ちゃん、慢性的な疾患を持つ方などに感染することが多いようです。

 感染してしまうと、色々な症状を引き起こし、時には死に至らしめることもあるほどです。

 しかし、健康な人であれば、手洗いうがいで防ぐことができます。

 おむつ内に、綺麗な緑色の尿が出ていたら、感染の疑いがあります。

 

その他にも・・・!

その他にも色んな病気に感染している患者さんを見てきました。

 

●ルーエス(梅毒)●A、B、C型肝炎 結核 疥癬(かいせん)●白癬 O157 ●蜂窩織炎 ●ノロウイルス ●セラチア菌など・・・。そして、毎年のように感染者がでる【インフルエンザ】

 

 ざっと記憶しているだけでこれくらいの感染症が出てきましたが、どの感染症も予防法は多少違うものの、基本的にはプラスティックグローブ、ビニールエプロン、マスクを正しく装着していれば予防は出来ます。なので、安心して下さい。今のところ、保菌はしているかもしれませんが、発症はしたことありませんから・・・(笑)!

 

 その中で、最も注意するように指導されたのが【結核】でした。結核菌は感染者が咳をして、飛沫した菌を吸入すると感染するのですが、普通のコンビニなどで売っているマスクの予防では物足りないようです。【N95マスク】というかなり繊細な菌も予防できるマスクを装着する必要があります。

 

 また、結核は過去の病気と思っている方が多いと思いますが、最近になって増加傾向であると聞いていますので、どうぞご注意下さい!

 

では、そもそも何故感染するのでしょう?

 

感染の経路は・・・?

主な感染経路は5つあります。

 

①接触感染

患部に接触して感染します(疥癬、梅毒、HIVなど・・・)

 

②飛沫・空気感染

患者の咳やくしゃみなどによって空気中に飛び散った病原体を吸い込むことで感染する場合(インフルエンザ、結核など・・・)

 

③経口感染

病原体が水や飲食物に混じって口から入って感染する場合(O157、コレラ、腸チフスなど・・・)

 

④経皮感染

病原体が皮膚の傷口を通って侵入し感染する場合(破傷風、狂犬病など・・・)

 

⑤昆虫による媒介

昆虫に媒介された病原体によって感染する場合(マラリア、日本脳炎など・・・)

 

 

感染症予防3原則

①感染源の除去

感染症とわかった時点で、感染の拡大防止を図るため、周囲との接触を避ける(感染者を隔離する)

 

②感染経路の遮断

体内に病原体を入れない対策をする(手洗いうがい、マスクの着用)

 

③抵抗力を高める

体内に侵入した病原体と戦う力【体力・抵抗力】をつける。

 

基本は手洗いうがい、周りに風邪を引いている人がいた時や抵抗力がない時はマスク装着、あとはしっかり睡眠をとって、元気な朝を迎えましょう!

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恐怖の健康診断

心から嫌いな健康診断

 僕は心から健康診断が嫌いです!今まで正社員として働いてきた他業種では、何とか健康診断を受けずにやり過ごしてきました。しか~し、医療機関に勤めることになってからというもの、強制的に受けなければなりませんでした。

 

 施設の決まりか?はたまた法的なものか定かではありませんが、とにかく1年に2回も受けなければなりません。そしてこの恐怖政治?は、現在も続いています(笑)!

 

何故、嫌いか???

 はい、あほです。あほみたいな答えです。

 

 それは・・・・・【注射が大っ大っ大っ嫌いっ!】なのです!そう、健康診断の注射と言えば、【採血】です!!!

 

 あきれましたか・・・(笑)!

 

 あの尖がった針先が、皮膚に突き刺さり、あろうことか、数秒から永くて1分以上も皮膚に突き刺さったままの状態で、待たなければなりません!

 

 その間、いままで出したことも見たこともないような脂汗、冷や汗が噴き出て、脇汗はびしょびしょ、鼓動はバクバク、気が遠くなってゆき、気を失いそうになるんです。もちろん、針が皮膚に刺さるところなんて、一度も見たことはありません。恐ろしくて見れませんよ!

 

記憶をたどれば・・・

 医療業界で働く前に打った最後の注射は、いつだったか記憶を辿ってゆくと、確か、小学校か中学校に集団接種した【インフルエンザの予防接種】だったような気がします。

 

 逆に言うと、20年近く注射を打ってこなかったことになります。もちろんインフルエンザの予防接種も打ったことはありません。病院で勤めていても、インフルは任意だったため、受けなくて良かったのでした。ただ、僕以外のスタッフは、ほぼ全員受けていましたが(笑)・・・・!

 

 でも、僕は一度もインフルに罹ったことはありません。別に自慢ではありませんが・・・・(笑)!

 

変わったイベント?

 採血の当日、看護師に注射してもらうのですが、当施設では、看護師なら誰に注射してもらっても良い!というルールがありました。なので、注射が好き?な人は、あえて新人看護師の練習台に買って出る人もいました。僕はというと、そんな余裕はかけらもないので、当然【注射のうまい人】を選んでしまいます。ここはもう命がけですから(笑)!

 

 上手な人って、ほんの少し「チクッ」とするくらいで、ほとんど痛みは感じないんですね~!当然その看護師めがけて依頼するのですが、残念ながら休みの時もあるんですね!

 

 採血当日のある日、とんでもない悲劇が起きました・・・・!

 

皮膚で繰り広げられる、祭り縫い!?

 

 いつものように、注射が上手な看護師を探していると、新人看護師が僕の目の前に現れました。そして、恐怖の会話が始まりました!

 

新人看護師:「おはようございます!誰か探してるんですか?」

 

:「あ~っ、いや、あの~、〇〇さんか〇〇さんに採血してもらおうかと、探してるんですが・・・・」

 

新人看護師:「お2人とも休みですよ!私がしましょうか?」

 

:「えええっ!・・・・。いや~、いつもお2人にお願いしているので・・・。」

 

新人看護師:「私もできますから、遠慮しなくてもいいですよ!今すぐ用意しますから!」

 

:「えっ!ああっ、じゃ~、お願いしよっかな・・・。」

 

 ということで、あろうことか新人看護師に採血を依頼することになりました。

ここはもう腹をくくるしかありません!とにかく数分の我慢です!

 

 準備ができ、利き手の右腕を差し出すと、脇の下辺りをゴム紐でぎゅっと縛ります。

その次に、針を刺すであろう部分を丁寧にアルコール消毒をします。その上をさらに手の平でぱんぱんと叩き始めました。

 そうすることでさらに血管が浮き出てくると、注射器を取り出し、ねらいを定め、刺そうとしたところで、恐怖には勝てず、目を閉じてしまいました。

 

 すると、その直後に激痛が走り、あまりの痛さで、腕を動かしてしまいました!次の瞬間、見えるはずいない、刺した針先が、刺したところとは別の皮膚から出ているではありませんか!!!まるで、祭り縫い状態!

 

 「痛った~~~い!」絶叫です。

 

 やっぱり、注射は大っ嫌いです(笑)!

 


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12年にわたって受けてきた暴力!

介護現場って、暴力は当たり前?

 介護の仕事に携わって12年以上が経ちましたが、振り返ってみると、ま~、色々な形で、利用者から暴力を受けてきました。一時期は、毎日のように受けた暴力によって、両腕にあざや引っ搔き傷が絶えないこともありました。

 

 殴る、蹴る、叩く、つねる、引っ搔く、髪の毛を引っ張る、物を投げる・・・思いつくだけで、これぐらいはか~るく出てきました(笑)!それと同時に、利用者さんの顔やその時の表情、暴言などもセットになって、記憶しているものです。

 

 もちろん、暴力の程度が、大きかったり小さかったり、軽かったり重かったりと様々です。小さくて軽いものは、猫パンチ程度ですが、大きくて重いと、労災認定を受けるほどの重症な案件まであります。

 

その1: 右フックの得意なおばあちゃん!

 介護職を始めて間もない頃、初めて暴力を受けたのは、長谷部さん(仮名)という、90代の元教師のおばあちゃんからでした。

 

 左手に拘縮があり、かろうじて右手だけが使え、移動は車椅子を使用していました。その長谷部さんの特徴が、【どあほ~】と言って、右フックを繰り出すのです(笑)。

 

 スタッフは、普通に介助を行っているのですが、機嫌が悪い時や、気に障ることがあれば、【どあほ~】という叫び声と共に、右フックが炸裂します(笑)!猫パンチみたいな右フックなので、慣れればすぐに避けられますが、慣れない頃はよく振り切った右フックを顔面に食らっていました(笑)!

 

 僕は眼鏡をかけているので、まともに食らうと眼鏡が吹っ飛ぶですね!吹っ飛ぶだけならまだましですが、目に食い込んだり、顔に引っかかったりして、本当に危ない経験をしました。眼鏡も一度、折れ曲がって、破損しましたしね・・・( ;∀;)

 

その2: 紳士だけど・・・!

 次に、青田さん(仮名)という、普段はやさしくて、言葉づかいも美しく、見た目も普通で、どこから見ても紳士に見える男性利用者さんですが、殴るんです(笑)!

 

 例えば、足が不自由なため、靴を履かせている時、

 

【ごつん!不意に後頭部を強打!】

 

:「痛たたた!青田さん、何するんですか!殴らないでください!」

 

青田さん:「すいません!本当にすいません!もうしませんから!」

 

:(なおも靴を履かせていると、ごっつ~ん、後頭部を強打!)

「痛つつつつつた~!!!青田さん、まじでやめてください!」

 

青田さん:「本当にすいません。もう絶対にしませんから!」

 

:(さらに靴を履かせつつ、青田さんの様子をチラ見していると、大きく右手を振りおろす様子が見えたため、左手でキャッチ(笑)!)

「青田さん、いい加減にしてください!」

 

という具合で、2発、後頭部にげんこつを食らいました(笑)!

 

 この方は、認知症で、何故か靴を履かせるときにスタッフの後頭部を見ると、殴りたい衝動に駆られるようです。それ以降、少し距離を置いて、後頭部を見せないように介助するようにすると、被害にあわなくなりました。

 

 同じような方に、髪の毛を引っ張る女性の利用者さんがいました。自分の目線より下に頭があると、特に理由もなく、髪の毛を引っ張ります。スタッフの他に、他の利用者に対しても、容赦なく髪の毛を引っ張ります。しかも、一度つかんだら離しません。痛いのなんの!これには参りました!

 

その3: 労災認定に及んだ例

 同じフロアで勤務していたスタッフの例を紹介します。

 

 三田さん(仮名)という、80代認知症の女性の方がおられ、普段ははとても穏やかなのですが、ある時突然、まるで不穏のスイッチが入ったかのように、叫んだり、暴言を吐いたり、暴力に及ぶことがあるという、変わった特徴のある方でした。

 

 そんなある日、女性スタッフが、お風呂の準備ができ、浴室へ案内しようと車椅子へ移乗介助しようとした際、不穏のスイッチが入り、女性スタッフの腕をつかみ、爪を立て、思いっ切り引っ搔いて、暴れました。

 

 なおも暴れながら引っ搔く行為が続いたため、他の女性スタッフが仲介に入ろうとすると、同じ様に引っ搔かれ、2人の女性の腕は出血するほどの掻き傷ができていました。よっぽど力を入れて引っ搔いたからでしょか?三田さんの爪の周りにも出血が確認されました。

 

 ここで問題になったことが、三田さんは【C型肝炎】の持病を持っていたのです。

 

 C型肝炎ウイルスは、空気感染や経口感染で発症しませんが、感染者の血液が、他の人の血液の中に入ることで感染します。

 

  そこで、上司に相談したところ、【労災認定】してもらおうか?という話になりました。

 

 労災とは、【労働災害】の略で、仕事中や通勤の途中で怪我をしたり、障害状態になったり、死亡したり、また仕事が原因で病気になったりする災害のことで、労災保険から、保険給付を行う制度です。

 

 この場合はもちろん、仕事中ですし、甚大な健康被害が予想されることもあり、労災にて検査を行うことになりました。

 

 検査結果は、幸い【陰性】だったので、スタッフ一同、胸をなでおろしました。

 

法的には、問題ないの?

 残念ながら、利用者から暴力を受けても、利用者を罰することはできないようです。

 

 ドクターに相談しても、精神安定剤を処方する程度が関の山です。

 

 なので、自分の身は自分で守れということでしょうか?


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初めて涙した本当に悲しかった出来事!

あ~、やっと1年が経った!

 老人保健施設に介護士として働き始めて1年が経った頃のお話しです。

 何があっても1年は絶対に辞めないと心に誓っていたこともあり、2年目を迎えた時は、ようやくこの業界のスタートラインから一歩前進できたかな?という、何となくすがすがしい気持ちを抱いたことを覚えています。

 

 それはもう、毎日が、今まで見たことも聞いたこともないような体験の連続だったので、不安や困惑を抱くことの多い1年でした。

 

 心地よい緊張感?を持って過ごす日々はとても新鮮で、前向きに頑張っていたこともあり、少しづつ介護士としての基本的な知識や技術が身に付いていったように思います。

 

 その中でも、特に患者さんとのコミュニケーションは、今まで高齢者の方と接する機会がほとんどなかったので、どう接していけばよいか戸惑うことが多く、始めの頃は、先輩介護士の後ろで、背後霊のごとく突っ立っていました(笑)!

 

 とてもぎこちなかったコミュニケーションも、1年経った頃には自然と会話ができるようになり、また冗談が言える余裕もでき、コミュニケーションが一番楽しいと思えるほどになっていました。

 

素敵なおばあちゃんとの出会い

 その頃、今井和子さん(仮名)という90歳のおばあさんが入院していました。1年前、外出先で転倒し、大腿部を骨折してしまい、手術をしましたが、歩くことや立つこともできなくなり、ベッド上での生活が続き、その後介護が必要となったため、介護病棟へ転院してきた方でした。

 

 今井さんは、少しぽっちゃりされていて、色白で、物腰の柔らかい優しいおばあちゃんでした。いつもにこにこされており、僕が上司や先輩に怒られてへこんでいる時は、真っ先に今井さんのところに行って、話を聞いてもらい、慰めてもらっていました(笑)!

 

 そんなとても優しい今井さんの趣味は、【読書】でした。元気な時は、ベッドの頭部分を上げて、司馬遼太郎】の本を読んでいました。その姿はとても聡明で清楚な女性?に見えました。見えるというか、本当にそのままの素敵なおばあちゃんでした。

 

望まない胃瘻増設術

 しかし、90歳超えの高齢には勝てず、徐々に元気がなくなってゆき、食事もほとんど喉を通らなくなってきた頃、今後のことを息子夫婦とドクターで話し合っていた時のことです。僕はその会話をこそっと聞き耳を立てて聞いていました。

 

ざっくりこんな会話だったと思います。

 

ドクター:「経口からの栄養が入らなくなってきたので、胃瘻を作って胃に直接栄養を入れる方法を取りましょうか?」

 

息子さん:「いえ、本人とも話し合ったのですが、延命処置はしないでおこうと思います。自然に任せようと思います。」

 

ドクター:「点滴による延命も可能ですが、感染症のリスクが高くなるので、胃瘻をおすすめしますが・・・」

 

息子さん:「だから延命は望んでいません。本人も自然に逝くことを望んでいますし・・・」

 

ドクター:「このままの状態ですと、飢え死にしますよ本当にいいのですか?かわいそうですよ!

 

息子さん:「・・・・・・・・・・・では、先生にお任せいたします。」

 

こんな感じで胃瘻増設術に踏み切ったように思います。

 

七夕の願い事

 無事、胃瘻の手術が終わり、今井さんの食事は、経口からではなく、経管栄養による食事に変わりました。経管栄養に変わって1か月が経った頃、今まで以上に会話が少なくなり、表情も乏しくなりました。受け答えは出来るのですが、会話が続きません。また、身体全体にむくみができており、しんどそうで、一日中目を閉じたまま過ごすこと多くなっていました。

 

 そんな状況の中、7月に、毎年施設で行われている【七夕まつり】という催しがありました。患者さんに短冊に願い事を書いてもらい、笹に飾り付けをするという恒例の行事です。手が不自由な方など字が書けない方は、職員が代筆します。今井さんも寝たきりで字が書けなくなっていたので、大好きな今井さんのために、短冊を用意し、今井さんの病室へ向かいました

 

:「今井さん、もうすぐ七夕なんで、短冊に願い事を書くので、何か1つでもいいから、願い事教えて下さい!僕が代わりに書くから!」

 

今井さん:小さな細い声で「死にたい・・・」

 

:「・・・今井さん、それは無理やわ。書かれへんわ。すいません。その他に何か願い事ないかな?」

 

今井さん「殺して・・・」

 

:「・・・今井さん、それも無理やわ。やっぱり書かれへんわ。元気になるように、神様にお願いしようか?」

 

今井さん「いや、もう充分やわ。だから死にたい・・・」

 

:「(涙・・・) 今井さん、わかりました。早く天国へ行けますように!って書いてもいい?」

 

今井さん「(頭をこくり)・・・」

 

今井さんは、その数日後に、家族に見守られながら、天国にいかれました。

 

今頃、天国で、大好きな【司馬遼太郎】の本を読んでいるかもしれません。

衝撃の褥瘡(じょくそう)交換で悶絶!

初めての褥瘡交換

 老人保健施設で働き始めて間もないころ、看護師に付いて患者さんの清拭を行っていた時のことです。

 

看護師:「さあ、今から【じょっこう】回ろうか!」

 

僕:「じょっこう??? 何ですかじょっこうって???」

 

看護師:「あっ~、褥瘡(じょくそう)ってわかる?床ずれのこと!褥瘡交換ね!その処置をこれからするから、身体支えてほしい。」

 

 とのこと。床ずれはなんとなくわかるけど、専門用語で褥瘡って言うのか?!まあ、どんなものかわからないし、実際見たことがないので、半分興味津々で看護師に付いていきました。

 

そこで見たものとは!細胞の壊死???

 褥瘡交換が必要な患者さんとは、魚井さん(仮名)という80歳前後の女性で、アルツハイマー認知症を患っており、1日のほとんどをベッド上で過ごしている方でした。

 

 訪室するとベッド上に寝転がっており、我々に気付くと笑顔であいさつしてくれました。

 

看護師:「魚井さん、おはよう!おしり綺麗にするから、ちょっと我慢してね!」

 

僕:(えっ!我慢??? 痛いの???)

 

 その褥瘡とは、おしりの仙骨辺りにあるようで、オムツをはずし、身体を横向きに倒すと、仙骨辺りになにやら大きなシートが貼られていました。

 

 そのシートをはずすと、何やら黒ずんだ大きな穴?ができていました。

 

 しかも臭い!とにかく臭い!本当に、もどしそうになるくらい、鼻につく悪臭が漂います。その臭いとは、魚の腐ったような臭い?生ごみが腐ったような臭い?といえばいいでしょうか?

 

 褥瘡の大きさは、直径10㎝くらいあったと思います。その褥瘡部分を、精製水で綺麗に洗い流します。皮膚が黒ずんでいる部分は、壊死(細胞が死んでいる)しているようで、悪臭の原因はどうやらその壊死した皮膚からくるようでした。

 

 褥瘡部分を洗浄している時、とにかく痛いのでしょう。魚井さんの身体は小刻みに震え、「痛い痛い!」と涙を流しながら耐えています。看護師が「ごめんね、もうすぐで終わるからね!」と優しく声をかけながら、処置をしてゆきます。

 

 壊死部分を洗浄後、黒ずんでただれ落ちそうな皮膚をハサミでカットし、創部に薬を塗布した後、専用のシートを貼り、処置は終わりました。

 

 この処置を、褥瘡の大きさ、深さ、壊死の悪化の程度によって、軽い方は1日に1回、重症の方で1日に5~6回は行なっていました。

 

 とにかく初めて見た時は、何故ここまで悪化するのかな?と疑問に思いました。人間の身体って、生きてても壊死したり、腐る事もあることを知り、愕然としました。

 

 ではなぜ、褥瘡ができるのでしょうか?

 

褥瘡は半日でできる?!

 寝たきりや車椅子などで、同じ状態や体位で座っていると、皮膚に圧がかかり、部分的に血液の循環が悪くなります。そして、必要な酸素や栄養分が行き渡らなくなると細胞が死んでしまい、褥瘡ができてしまいます。同一個所に圧迫を続けると、半日どころか2時間もあればできてしまう恐ろしい現象です。

 

 元気な人なら、ぐっすり寝込んでいる時でも、手足が痛くなったり痺れてくると、自然に体を動かして除圧し、血液が途絶えないようにしますが、何らかの病気が原因で自由に体を動かせない方や脳疾患などで感覚そのものに障害がある方などは、うまいこと除圧できずに褥瘡を作ってしまうようです。

 

褥瘡ができやすい部位とは?

 その後、色んな褥瘡を見ましたが、だいたい3か所が多かったように思います。

仙骨部(尾てい骨のちょっと上の辺り)

②大転子部(太ももの付け根の外側の骨)

③踵部(足のかかと)

 

 お分かりの様に、皮膚から飛び出てるというか浮き上がっている部位ですね。

 

褥瘡予防

 褥瘡ができるリスクの高い方と言えば、やはり寝たきりの高齢だと思います。そのような方は体力が弱っている方が多いので、一度褥瘡ができてしまうと、悪化の一途をたどることが少なくありません。

 

 そのためのは、予防が必要になります。

体位変換

2時間以上の皮膚の圧迫は、褥瘡形成のリスクが高くなるので、だいたい2時間ごとに体位変換すると良いようです。

 

②マッサージ 及び ポジショニング

血液の循環を良くするために、除圧すると同時に褥瘡ができやすい部位のマッサージも効果的です。また、クッションやタオルなどを使って、皮膚への圧力を分散させる方法も有効です。

 

③エアマット 及び 体圧分散型マットレス

まさに、褥瘡防止の王様的存在です。体重がかかる面積を増やし、皮膚の圧力を分散してくれる優れものです!最近では、体位変換モード機能が付いたものなどもあり、患者さんにやさしく、また介護者の負担を軽減してくれる福祉用具でもあります。

初夜勤でわかったこと!

初めての夜勤

 老人保健施設で働き始めて1か月が過ぎ、少しずつ仕事にも慣れ、ようやく1日の流れがわかってきた頃、いよいよ夜勤をする日が来ました。

 

 今まで夜間に仕事をした経験がなく、また先輩介護士から【夜勤はしんどいよ!】と噂で聞いていたので、かなりの不安を抱きながら、当日出勤しました。

 

●勤務時間は 16:30~9:00 拘束時間は 16時間30分 となります。

んんん~~~、長い(笑)(-_-;)! 大丈夫だろうか?

 

●勤務体制は、看護師1名 介護士2名 の3人で、60名の患者さんのお世話をすることになります。ただし、遅出が19時まで1名、早出が7時から1名いるので、実際3名の態勢で過ごす時間は12時間となります。

 

夜勤スタート!

 初夜勤の相方は、女性のベテラン介護士の方でした。夜勤初日ということもあり、少し早めの16時前に出勤すると、その先輩女性介護士はすでに出勤しており、廊下の隅っこの方で、何やらしています。

 

 「本日の夜勤、よろしくお願いします!」と挨拶をすると、「まずこれやって!」と勤務時間外から翌日使用する清拭用のタオルや洗面用のフェイスタオルをたたんでいました。

 

 見よう見まねで30分以上地道なタオルたたみ作業をして、16:30になると、詰所から「夜勤さん、申し送りで~す!」との声が聞こえてきたので、当日リーダーの看護師から、本日の夜勤に必要な情報を約15~20分かけて聞きます。

 

 申し送りが終わり、さて、いよいよ仕事するぞ!と思ったら、「ご飯食べに行くよ!」とのこと。すぐに従業員用の食堂へ向かうと、そこには夜勤者用の夕食が用意されていました。

 

 その夕食は、今から患者さんが食べるメニューと同じものが用意されており、少し得した気分になりました。病院食といえども、味はなかなか良かったです。

 

おむつ交換が3回も!!!

 その後すぐに病棟へ戻り、患者さんの夕食の準備、食事介助、口腔ケアなどを遅出の方を含め4名で行います。経管栄養の方は16時~17時までには夕食が終わっているので、実際に食事をされる方は約半分の30名となります。

 

 食事と口腔ケアが終わると、早くも寝る準備に入ります。寝る準備と言っても、ただベッドをフラットにするだけですが・・・(笑)!

 

 その後すぐに、本日1回目のおむつ交換です。19時を過ぎ、遅出のスタッフが帰ってから行うので、2人で60人の対応をします。ただ、中には尿道カテーテルが入っている人がいたり、一部介助でトイレに行ける方もいますので、実際に交換が必要な方は、40~50名だったと思います。

 

 おむつ交換に集中できれば、2時間もあればできるのですが、交換中にも容赦なくナースコールがなります。【トイレに連れていって!】【テレビを消して】【気分が悪い】【便が出ました】【今何時ですか?】【お茶を下さい】・・・・・等、様々な要求に答えながら進めていくと、軽く2~3時間はかかってしまいます。  

 

 21時からは、詰所で事務的な仕事をしつつ、患者さんからナースコールが鳴ればその都度対応します。

 

 そうこうしているうちに、23時になり、夜間の2回目のおむつ交換の始まりです。薄暗い廊下を陰洗ボトルを持ち、ゴミカートを引きずりながら、2人でおむつ交換に回ります。

 

 当然患者さんは寝ているので、患者さんのかかる負担を最小限にし、あまり揺れ動かすことのないように、効率よく、慎重に行う必要があります。身体の大きい方や、拘縮の激しい方などは、2人で行う必要があります。なので、夜勤はチームワークというか、2人の息が合わないとやりずらいということも、わかりました。

 

 約1時間半でおむつ交換が終わると、1時から3時まで仮眠となります。

 

 仮眠が終わる3時になると、早朝の3回目のおむつ交換の始まりです。夜間に比べ早朝のおむつ交換となると、早起きの患者さんからのナースコールの要求が多く、なかなかスムーズに行きません。ここでも軽く2時間以上はかかります。

 

 早朝のおむつ交換が終わると、患者さんお一人おひとりに温かいタオルを配り、お顔を拭いて回ります。同時にお茶を配り、自力で飲めない方は水分にトロミなどを加え、水分介助を行います。

 

 7時になると、早出のスタッフが出勤し、朝食の準備が始まり、夜勤終了というゴールが見えてきました。とにかく長~い(笑)!

 

 8:30から日勤スタッフに申し送りを行い、9:00になれば夜勤終了です。

とにかく、夜勤=おむつ交換と言ってもいいくらいに、おむつ交換が印象に残った夜勤でしたし (-_-;)。